第179回「インドネシアの祝日「レバラン」~ 日本で働く特定技能者の本音に触れた日~」
こんにちは。北海道ハピネス株式会社の高橋です☆
弊社では、ベトナムを始め、インドネシアやミャンマーといった様々な国の海外人材の支援を行っています。
今回は、先日入国した日本で働くインドネシア人スタッフとのやり取りの中で、「レバラン」という大切な祝日について、改めて考えさせられる出来事がありましたのでお伝えしていこうと思います。
ある日、スタッフからこんなメッセージが届きました。
「私たちは今悲しいです。インドネシアでは明日レバランですが、私たちは仕事に行きます。会社はイスラム教におけるレバランの意味を知っていますか?」
私はメッセージを読んだとき、胸がキュッとなる感覚がありました。
私は人材業界が長いので、日本側の事情や現場の忙しさが分かります。
ですが一方で、彼女たちにとってこの「レバラン」という日がどれほど特別な日なのかを、私自身も十分には理解できていなかったのではないか――そんな思いがよぎりました。
今回の受け入れ企業にとって、インドネシア人の採用は今年始まったばかりです。もちろん、レバランやラマダンといった宗教・文化行事について、現時点で詳しく知らないのは自然なことと言えます。
【レバランとは?】
インドネシア人にとっての「心のお正月」。
「レバラン」とは、イスラム教の断食月ラマダンが終わったタイミングで祝う「断食明け大祭」のことです。
インドネシアでは一年で最も大切な行事の一つとされており、日本でいう「お正月」と「お盆」が一緒になったような、とても特別な日と言っていいかもしれません。
この時期になると、多くの人が故郷に帰省し、家族や親戚が集まります。
ご馳走を囲みながら、祈りを捧げ、一年間の行き違いやわだかまりをお互いに「許し合う」――そんな、心の節目となる日なのです。
この日に交わされる有名なフレーズの一つが、
「Mohon Maaf Lahir dan Batin(モホン・マアフ・ラヒル・ダン・バティン)」
という言葉です。
直訳すると「言葉や行動でも、心の中でも、してしまったすべての過ちを許してください」という意味で、大切な家族や友人、仲間など、身近な人同士がお互いに許し合う、とても深い挨拶なのです。
【日本でレバランを迎えるということ】
インドネシアでは、レバランのために多くの人が長距離を移動してでも故郷に帰ります。
家族のもとへ帰り、久しぶりに顔を合わせ、笑い合い、時には涙しながら「ごめんね」「こちらこそごめんね」と言葉を交わします。
一方、日本で働くインドネシア人スタッフにとって、レバランは必ずしも「休める日」ではありません。
日本では多くの場合ただの平日です。いつも通り仕事に行き、休憩時間や仕事終わりにスマートフォンの画面越しに家族の顔を見る――それが現実です。
だからこそ私は、
「インドネシアでは明日レバランですが、私たちは仕事に行きます」
という一文を読んだ時には、
本当は家族のそばでこの日を迎えたい。けれど、日本で働くことを選んだ自分の責任も分かっている。その間で揺れる、寂しさや葛藤といった、彼女たちの本音がそこには詰まっていたのだと思いました。
【私がスタッフにかけた言葉】
そのメッセージを受け取って、私は少しでも彼女たちの気持ちに寄り添いたいと思い、インドネシア語も交えながら、次のように返信しました。
「🌙 Selamat Hari Raya Idul Fitri!Mohon Maaf Lahir dan Batin 🙏
レバランおめでとう 😊
日本で働きながらレバランを迎えるのは、家族に会えなくてきっと寂しいよね。
あなたたちの気持ち、本当によくわかるよ。
会社さんは今回初めてインドネシアのきみたちを採用したばかり。だから、インドネシアの文化やレバランのことをよく知らないだけで、そういった事を気にしていないわけじゃないんだ。日本だと中々まだ文化的な配慮が根付いてなくてごめんね。🙏
今後は俺の方から、会社にはレバランのこと、その他のインドネシアの文化の事を、少しずつちゃんと説明しておくからね。
そして2人がここで長く安心して働けるように私はいつも応援しているから、私を日本の兄だと思って何でも相談するんだよ😊
今日は少しでも家族とビデオ通話して、気持ちを楽にして過ごしてね ✨」
私は2人が「自分の文化を、ちゃんと理解しようとしてくれている」。
少しでもそう感じて安心してもらえたらいいな、という思いを込めて送りました。
すると、スタッフからはこんな返事が返ってきました。
「ああ、、どうもありがとうございます。そして、イード・アル=フィトルおめでとうございます。いつもご迷惑をおかけして申し訳ありません。また、滞在中に何か間違いがあったらごめんなさい。」
このメッセージを読んだとき、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じました。
レバランのような大切な日に、
「いつもご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「滞在中に何か間違いがあったらごめんなさい」
と言葉を添えるのは、表面的なお礼ではなく、関係そのものを大切にしたい相手にしか使わない、とても深いメッセージだったからです。
こちらが文化を理解しようと一歩踏み出したことで、彼女たちもまた、心の内側を素直に見せてくれた瞬間だったのだと思います。
私は日本人なので、他国の文化を完璧に理解する必要はもしかしたら無いのかも知れない。
ですが、今回の出来事を通して強く感じたのは、「最初から文化や宗教を完璧に理解している必要はない」ということです。
大切なのは、知らなかったことに気づいた時に、そこから「知ろうとする一歩」を踏み出せるかどうか。
そして、慣れない国で働く人たちに、ほんの短い言葉でも「あなたの気持ちを分かろうとしているよ」と伝えられるかどうかだと思います。
受け入れ企業のご担当者さまには、今後、タイミングを見ながらレバランのこと、他のインドネシア文化のことを少しずつお伝えしていくつもりです。
これは「必ず休みにしてください」といった大きなお願いではなく、
まずは、レバランの日に「おめでとう」と一言かけてもらうこと
その日だけ、できる範囲で少し気持ちに寄り添っていただくこと
そんな小さな一歩からでも、インドネシア人スタッフにとっては大きな安心につながります。
もし皆さんの職場にもインドネシア出身のスタッフがいるなら、レバランの時期には、是非こう声をかけてみてください。
「Selamat Hari Raya Idul Fitri!(レバランおめでとう!)」
たった一言ですが、「自分たちの文化を大切にしてくれている」と感じてもらえる、とてもあたたかいメッセージになるはずです。
北海道ハピネス株式会社は、これからも、外国人材一人ひとりの背景や文化に寄り添いながら、受け入れ企業の皆さまと一緒に、「ここで働けて良かった」と思ってもらえる環境づくりに取り組んでいきたいと考えています。
その後2人からは
「今日はイード・アル=フィトルです 肉体的にも精神的にもお詫び申し上げます。ご協力いただき、本当にありがとうございます😊」という言葉を嬉しそうに写真付きで送ってくれました☆
私は今後もずっと、彼女たちが安心して日本での生活をしながら働けるような環境づくりをしていきたいですし、他国の文化を出来るだけ尊重しながら、本人達にとって、「心から寄り添える支援」をしていきたいと思っています。
頑張れ二人とも☆
さて次回は「タンクトップ民族」の末裔。コヤーマン・フルキズフスキー課長です!!


