第79回「昔の親って怒るとすぐ「この家から出ていけっ!!」って言いません?」
札幌事業所の石田です。
昔の親って怒るとすぐ「この家から出ていけっ!!」って言いませんでしたか?
私が小学校3年生の頃、休日に両親が買い出しに出掛けたまま、お昼の時間はおろか、15時のおやつの時間になっても家に帰って来なかったことがありました。腹を空かせた私は、食材棚に置いてあったシーチキンの缶詰を一人で勝手に食べ、家を追い出されました。
その後も私は小学校を卒業するまでの間に、
・卵かけご飯に卵を3個使った。
・1リットルの牛乳を1日に2本飲んだ。
・晩御飯用に作り置きしておいたカレーが無くなった。
などの罪状で計4度家を追い出されております。
私は家を出る覚悟さえあれば何を食べても良いということを学びました。
札幌事業所の石田です。
さて、本社の奥村君が「三重県にあるおすすめの神社か寺を教えてほしい」と言うので教えます。
おすすめの神社・寺その①「浄願寺」
親が「出ていけっ!!」と子供を家から追い出す時、子供は何を考えているのでしょうか?小学校3年生の私は「何いっ!?とんでもないことを言いやがって!絶対に許さん!!おいらは出ていくっ!そして適度に見つからない場所に身を隠すっっ!!幼い我が子が出ていったまま見付からないと恐れおののくがよいっっ!!!」と思っていました。
三重県員弁郡東員町にある「浄願寺」は私の実家から大人の足で徒歩30分。子供が歩いていくにはかなり遠い場所にあると言っていいでしょう。親が恐れおののくには丁度良い距離です。さらに「小さくて普段人が来ないお寺」「縁束(お寺の下にある柱だけの空間)が広く雨風をしのげる」「それでいて毎朝住職さんがきちんと掃除に来る」という好条件。私が住職さんに発見された数年後、私と同じように家を追い出された2人の弟達が次々とこのお寺で発見された時、私は兄弟の血の繋がりというものを強く感じました。3兄弟を守ってくれたお寺として、私がはじめてお賽銭を自腹で払ったお寺でもあります。
おすすめの神社・寺その②「穴太弁天山厳島神社」
三重県員弁郡東員町にある「穴太弁天山厳島神社」は私の実家から大人の足で徒歩10分。標高114mの低山にあるお寺です。「東員八重山桜(トウインヤエヤマザクラ)」という町指定天然記念物が1本生えています。八重咲のヤマザクラの自然変種で、世界に2本しか確認されていないという桜マニア垂涎の珍しい桜だそうです。先ほどの「浄願寺」に行く道中にもう1本も生えています。私に「天然記念物って町とか村単位でも指定できるんだ。ふ~ん。」という知識を与えてくれたお寺です。
セリ・自然薯・むかご・わらび・山いちご・ビックリグミ・つくし・ドクダミ・筍・アケビ・桑・ふきのとう・たらの芽などなど、山菜果物が無限に採れる豊かな自然に囲まれたお寺です。採ってそのまま食える山菜果物も多く、実家から近くお手軽でありながら、低山とは言え山なので親も簡単には私を見付けられない。お寺での連泊(家を追い出された)を検討する際の第一候補のお寺となります。ここで培ったサバイバル能力は大人になってからも大変に活躍しました。
え?奥村くんが知りたいおすすめの神社・寺ってこういうことじゃないって?そうなの?では・・・最後に真面目に1社、神社を紹介したいと思います。ちょっと重たい話になりますが。
今だから知っておきたい神社その①「多度大社」
三重県桑名市多度町にある「多度大社」は別名「北伊勢大神宮」とも言われ、「伊勢神宮」「二見興玉神社」「椿大神社」に次いで三重県で4番目に参拝者数の多い神社です。私にとっても「多度大社」は大変思い出深い神社で、子供の頃に何度も両親に連れて行ってもらっていた記憶があります。
近年、昔ながらの過激なお祭りがSNSなどで次々と物議を呼び、その存在意義を問われ続けていますが、この「多度大社」もまさに今、大きな岐路に立っています。
「多度大社」で例年5月に行われている「上げ馬神事」という伝統行事は680年の伝統があると言い伝えられ、三重県の無形民俗文化財にも指定されている神事ですが、この伝統行事が今、その姿を大きく変えようとしているのです。
「上げ馬神事」とは・・・
鎧を身にまとった若者がサラブレッドに乗り、細く急な坂道を一気に駆け上がる。ただでさえ急な坂道の終点には人の身長ほどの高さの土壁があり、人馬はこれも乗り越えることを目指す。例年5月4日と5月5日の二日間に渡って行われるこの神事では、毎回10頭以上の人馬がこの過酷な試練に挑み、最後の土壁まで乗り越えた回数で農作物の作柄などを占います。
2023年に行われた「上げ馬神事」では、挑戦した18頭のサラブレッドの内、1頭の馬が骨折し安楽死となり、5頭の馬が怪我を負いました。さらに過去15年間に遡ると、この件を含めて少なくとも4頭の馬が骨折し安楽死となっていたのです。この事実がSNSなどで広まると、日本中から多くの苦情が「三重県」や「多度大社」に寄せられる事態となりました。これを受けて三重県では「上げ馬神事」の今後の在り方を考える検討会が設けられ、現在では「最後に乗り越える土壁」がほぼ撤去された状態になっています。
三重県を代表する神社で行われている神事で、三重県が無形民俗文化財に指定している神事。この伝統行事を一個人が「動物虐待だ!」と言って、他のことを何も考えずに拒絶してしまうのは簡単ですが、この神事を誇りとして受け継ぎ、今もなお、大切に思っている方達が数多くいらっしゃることも事実です。「多様性」という言葉が独り歩きするこの現代で、「多度大社」の「上げ馬神事」が今後どのような変容を遂げて最新の社会に適応していくのか、または適応できずに存在そのものが失われていってしまうのか、私は今後を見届け続けていきたいと思っております。
次回は北海道ハピネスの中でも最も深い話をしてくれると評判の菊地さんです。