第135回「死ぬ前に食べたいもの」
記念すべき第135回目のブログを担当させていただく運びとなりました。
光栄です。
札幌事業所の石田です。
私は食べることが大好きで、色々な国の色々な物を食べてきました。
ミシュランで星を取るような高級レストランから、昆虫食まで、
食べ物に対する好奇心は尽きることなく、
その辺の道端に落ちている食べ物じゃなさそうなものまで食べてきました。
そんなある日、私はふと、
誰しもが人生で一度は考えたことがあるだろうあのテーマについて思いに耽ったのです。
「死ぬ前に食べたいもの」
とはなんだろう?
私はこのテーマについて、人生で30回くらいは真剣に考えてきました。
年に1回は考えています。
そして、その度に大体同じ答えに辿り着きます。
この答えを書くと、
私のことを知る職場のみなさんは「またこの話か・・・」と思う事でしょう。
そう、
おばあちゃんが焼いてくれた卵焼きです。
私は決してノスタルジーに浸っているわけではなく、
元料理人として、
たまたま、おばあちゃんが私の知る人物の中で最も卵焼きが上手なのだと思っています。
中身がしっかりと詰まっていることを予感させる、ぷっくりと張りのあるオムレツタイプ。
焼き目がほんのりと均等に付き、
表面はしっかりと弾力を感じる。
箸を入れるとパンッと弾けるような感触と共に、
ふわっふわに火入れされた断面が見える。
口に運ぶと、
ふわふわでありながらもスクランブルされた卵の幾重にも重なった層の食感を歯切れよく感じ、
口の中だけでは納まりきらない芳醇な卵焼きの香りが鼻を抜け、
その香りは身体すらも突き抜け、まるで身体中が卵焼きの香りみたいになります。
そして口の中には濃厚な卵黄の味わいが残る。
どこにでもある10個200円を切るような特売の卵を使っているのに、
1個400円もする高級卵に匹敵するどころか、それ以上の芳醇な香りと濃厚な味わいがする。
いつも魔法みたいだなと思っていました。
私はおばあちゃんの焼いた卵焼きに少しでも近い卵焼きを焼けるようになりたくて、
人生で数百回は卵焼きを焼いてきましたが、
どうやらその境地に辿り着くことは出来なさそうです。
おばあちゃんが焼いてくれた卵焼きは私にとって「人生で最も美味しかったもの」であり、「死ぬ前に食べたいもの」ですが、恐らく私が死ぬ前に食べることは叶わないということを考えると、いつも胸が少し苦しくなるのです。
P.S.
最近、現実的な「死ぬ前に食べたいもの」が見付かりました。
妻の作ってくれたインスタントラーメン「屋台十八番(みそ)」です。
私は妻の作ってくれた「屋台十八番(みそ)」は、
世界中の誰が作る「屋台十八番(みそ)」よりも美味しいと確信しています。
次回はソフトクリームを見つめる笑顔が可愛い札幌事業所の刀根氏です。